ピンクのカバ
私はベランダでひとり、しゃがんで何も植っていない鉢を覗いていました。直径30センチほどの丸くて浅い、プラスチック製の鉢植えです。中には縁のぎりぎりまで、土が入っています。
晴れのような、曇りのような、はたまた雨のような非常に奇妙な天気の日でした。
私はただ、土だけの入った鉢を覗いています。
土の中で、何かが蠢いています。私はじっ……と、鉢の中を見つめています。
土から、一頭のカバが出てきました。
全長3センチほど、グミのようにぷるぷるとした質感の、透明なピンクのカバです。
カバは鉢を降り、ベランダを歩いて行きます。
私は、鉢の中を覗いています。
また、一頭のカバが出てきました。前のカバに続いてベランダを歩いて行きます。
それでも私は、鉢の中を覗いています。
3
閲覧数: 30
文字数: 524
カテゴリー: ホラー
投稿日時: 2021/10/15 14:32
最終編集日時: 2021/10/15 14:33
サーモンハンバーグ
小説やらを書散らす、自称小娘です。
Twitter▷▶︎▷▶︎ https://twitter.com/salmon_humburg_?s=21