ピンクのカバ

ピンクのカバ
 私はベランダでひとり、しゃがんで何も植っていない鉢を覗いていました。直径30センチほどの丸くて浅い、プラスチック製の鉢植えです。中には縁のぎりぎりまで、土が入っています。  晴れのような、曇りのような、はたまた雨のような非常に奇妙な天気の日でした。  私はただ、土だけの入った鉢を覗いています。  土の中で、何かが蠢いています。私はじっ……と、鉢の中を見つめています。  土から、一頭のカバが出てきました。  全長3センチほど、グミのようにぷるぷるとした質感の、透明なピンクのカバです。  カバは鉢を降り、ベランダを歩いて行きます。  私は、鉢の中を覗いています。  また、一頭のカバが出てきました。前のカバに続いてベランダを歩いて行きます。  それでも私は、鉢の中を覗いています。
サーモンハンバーグ
サーモンハンバーグ
小説やらを書散らす、自称小娘です。 Twitter▷▶︎▷▶︎ https://twitter.com/salmon_humburg_?s=21