要−−1日目

要−−1日目
枕元に陽光が射し、目が覚める。遮光カーテンの間を縫って目元を照らす陽光が少し煩わしく感じ、上体を起こした。 携帯を確認すると、朝の7時。今日の朝ごはんは何にしようかなぁと考えながらのそのそと布団から這い出て、身支度を整えた。 乱雑に物が置かれた床の隙間をどうにか潜り抜けて廊下を渡り、リビングのドアを開ける。 「おはよ」 破壊音で挨拶がかき消された。どうやら顔のすぐ真横の壁に花瓶が当たって割れたようだ。びしゃりと床を濡らす水を見つめていると、怒声と悲鳴が響き渡った。母親のヒステリックな悲鳴と、父親がものを投げる音。 しまいには母親の胸倉を父親が掴んで殴り始めた。 お前のせいで、お前のせいでと喚き散らしながら母親を殴り続ける父親は本当の父親ではない。私のせいじゃないと叫ぶ母親の顔に増えた痣を見つめて、仲裁に入った。 「父さん、そんなに殴らないでください。母さんだって」 言い切ることはできなかった。父親に横っ面をはたかれて、顔が横を向いた。行き場をなくした感情と言葉が宙を彷徨う。 「翼は黙っていなさい!」
雪月真冬
雪月真冬
雪月真冬と申します。実を言いますと昔pixivによくお邪魔させていただいていた者です。年齢不詳でお願いします。男子です。フォローしてくれたら嬉しいです。是非フォローしてください! (腐男子です。地雷な方は避けてください)