三原色

三原色
「ねえ、見てみてー。これインスタで見たお菓子なんだけどさ! めっちゃかわいくない?」 「え、ちょーかわいい! これどこのやつー?」 二人の制服を着た少女たちがスマホを見ながら横断歩道を待っている。 制服を見るに、近くの高校生か。 仕事帰りの私は、溜息をつきながらそれを見ていた。 女子高生の「かわいい」ほど薄っぺらい言葉はないだろう。 「かわいい」という言葉は正義だ。 それを徹底的に否定する語が無いから。 「かわいくない」は否定かもしれないが、別の言葉に言い換えられる可能性を持っているため、全面否定とは私にとっては言いづらい。
久雅永遠
久雅永遠
ものかき。