近未来の療法
気がつくと俺は道路へと繋がる門の前に立っていた。閉ざされた鉄製の門の向こうには四十歳ほどの女性がポツンと立ち、俺のほうをじっと見つめている。俺は何か情報を掴もうと無意識に周囲を見回す。真横には警備員のような男性。後ろには少し離れたところに現代美術館のような真っ白い建物が。しかし全ての窓には鉄格子が付けられており、俺はますます状況が理解できなくなる。俺はパニックになり横の男性に問いかける。
「ここはどこだ。俺はなぜ…… 俺は、俺は…………誰だ」
「落ち着いてください。あなたは複数回に渡る窃盗の罪により逮捕され、記憶抹消療法により今までの記憶が全て消去された状態です」
「窃盗? 俺の……記憶……?」
夢であってほしい。俺はそれしか考えられなかった。次の瞬間、門の向こうにずっと立っていた女性が口を開く。
「リョウヘイさん…… 私のこと、覚えてますよね……?」
俺は何も言えなかった。
「私たちの子供のことも、忘れてませんよね……?」
その時俺は誓った。二度と罪は犯さないと。
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文字数: 442
カテゴリー: SF
投稿日時: 2026/3/28 13:22
エーテル (短編・SS)
SF・別世界などちょっと独特な感じのショートショートをメインで書きます。
(全然別ジャンルも書くかも)
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