紅
母は美しかった。 いつも母は出かける前、仕事に行く前であっても、真っ赤な口紅を塗っていた。 それを見るのが俺は好きで、毎日の日課のようなものであった。 ある日、あまりにも俺が食いつくように見るものだから母は俺に言った。
速水実弥
速水実弥
「狐少女と花少年」を連載しています。 お絵描きもしてます。