chapter1-1

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 …「佐倉さん、あなたいい加減眼鏡持ってきたら?」 年に二回、前期と後期とで行われる視力検査。高校生活最後の夏休みが終わり、六回目になる三年生後期の視力検査でも、やはりその言葉を投げてきた。 「や…あの、すみません…。」 「いやね、怒ってるわけじゃないんだけどとにかく不便なんじゃないかしらと思って。」 「あ…いえ、特に不便じゃないので…」 「本当かしら。だってあなた、0.1もないんじゃなくて?」 「あの、はい…見えてない、です。」 「なら、“不便じゃない”ことはないんじゃないの?」 「いや…あの…、まぁ、はい…、でも、対して大きな問題もないんで、ほんとに…。」 「そう、あなたがそう言うならこれ以上は何も言わないわ。でももし大変なことがあったら遠慮しないで相談してちょうだいね。」
灯崎 とあ
灯崎 とあ