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 ユウヤはショウタが入院した最初の土曜日に、彼の居る病院に見舞いに向かった。電車で家のある街から四十分程の区にあるその病院は、父が死んだあの場所より一回り小さな建物だった。受付にショウタの名前と自分が彼のクラスメイトであることを伝えると、病室を教えてもらったユウヤは彼の居る病室へ向かう。 「ショウタ君っ!」  半ば勢いで扉を開けると、ショウタは右足をギプスで覆い、介達牽引で吊るした姿でベッドに横たわっており、ユウヤに気がつくと驚いた顔で目を向けた。 「…なんだ、ユウヤ?来たのか」  息を微かに切らしながら近付くユウヤをひどく落ち着いた様子でショウタは見やる。来たのか、じゃないよとユウヤは声を上げた。 「大丈夫なの?怪我は」 「ああ、大丈夫も何も、右足以外はどこも何ともねえよ」  ショウタはそう言うと、吊るされた足を一目見やり、ユウヤを安心されるように小さく笑った。 「学校には戻って来れそうなの?」 「まあ、先生が言うには、七ヶ月も経てば前みたいに歩けるようになるだろうってさ」
アベノケイスケ
アベノケイスケ
小説はジャンル問わず好きです。趣味は雑多系の猫好きリリッカー(=・ω・`)