田舎の片隅の高校生

田舎の片隅の高校生
僕は親と仲がいいわけではなかった。決して愛されていなかったわけではなかっただろうが、彼らから享受する愛は子供に対するものではなく、“”愛玩動物“”に対するような愛であったと僕は覚えている。僕の人格や性格や人間性や、要するに僕のことなんかちっとも見ていない両親だった。 僕が生まれる少し前、僕の両親はデキ婚して田舎の街に駆け落ちしてきた東京の者だったらしい。よそ者。まだ若く東京でしか生活したことのない彼らは、田舎のコミュニティにうまく溶け込めなかった。 「須賀さんの家の翼くんは本当に可愛くない」 と裏で陰口を叩く近所の大人は、 「翼くんは本当にいいこねえ」 と表では僕を持て囃し、ただひたすらにお世辞を並べたてた。幼い頃から妙に捻くれていた僕は周りの大人の態度に気がついていたのだ。 親と接することのなかった僕は、人付き合いが途轍もなく下手くそだった。それでもなんとか独学で人付き合いをした。ふと気づいていたら僕の周りの人は居なくなっていた。 −−−田舎なんて。大したことないくせに。 最初は田舎を呪った。 −−−親のくせして、僕を愛さなかったくせに。
雪月真冬
雪月真冬
雪月真冬と申します。実を言いますと昔pixivによくお邪魔させていただいていた者です。年齢不詳でお願いします。男子です。フォローしてくれたら嬉しいです。是非フォローしてください! (腐男子です。地雷な方は避けてください)