郷愁

高速を降りて海沿いをひたすら北に走る。忙しい兄夫婦の代わりに姪2人を連れて祖父母の家まで600kmの長旅を共にしている。日光は暑苦しい光を放ち地上の全てを溶かすような光を日本海に打ちつけている。 正直運転は得意な方ではない。幼少の頃から働くクルマが大好きで物流業界で仕事はしているがトラックを運転することはできない。せいぜい倉庫の中をフォークリフトで細々と走るのが精一杯くらい運転にセンスがないから仕方ない。そんな拙い技術とセンスで愛車を運転している。 その夜は祖母がごちそうを用意してくれていた。なかでも特に畑で採れたばかりのトマトが姪達は気に入ったようだった。 「ねえ?このトマトばあちゃん作ったの?」 「そうだよ。美味いでしょ?毎朝早起きして一生懸命作ったんだから美味しいに決まってるのよ。」 祖母は曾孫に嬉しそうに語っている。 「ねえ?ばあちゃんの畑手伝ってもいい?」 姪達はかなりトマトが気に入ったようで、このトマトを自らの手で作りたい旨を拙い日本語で祖母に訴えている。 「あら、嬉しいねえ。じゃあ、ばあちゃんが4時に起こしてあげるからね。畑仕事頑張ろうね。」
ハヤト