堕天使と小さな幸せの日々 【5羽】
平日の朝、通勤通学の人達が減ってきた時間帯。駅前のゴミ拾いボランティアは始まった。ボランティアなんて名前ぐらいしか知らなかったため、周りの人に迷惑をかけつつ、教えて貰った。
ルシルはしばらくの間は静かに過ごしていたが、先日のお爺さんに会えたらしい。急に私を引っ張り出した。
「お爺さん、おはようございます。今日もいい天気ですね」
まるで普通の人間の世間話のように、ルシルは仏のような笑みを浮かべるお爺さんに話しかけた。
お爺さんはニコニコしたまま、ルシルに向き直り「おはようさん、天使さん。また会えたねえ」と目尻にシワを寄せて嬉しそうに笑う。
ルシルは堕天使だ、捻くれ者で減らず口。だけどもキレイな元天使だ、長い月日を生きたお爺さんからすれば、彼はまだ天使なのかも知れない。
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カテゴリー: 恋愛・青春
投稿日時: 2025/1/30 12:10
注意: この小説には性的または暴力的な表現が含まれています
綾紀イト
糸へんが多いペンネームです、心の奥で絡まった糸を解くために書き出しています。
どんなに評価が無くても、私は私の文章が好きです。自分の心を救うために書いています。