遠い鐘の音

 婚姻届を出したものの、俺たちはまだ挙式を挙げていない。  チャペル式にするか神前式にするか迷っているところでもあるが、いろいろと強引にことを急いたため、彼女側の都合がつけられないでいた。  俺の隣で、たぷたぷと携帯電話をいじっている彼女の左手の薬指にきらめく小さな指輪を、ぼんやりと眺める。  愛情、忠実、永遠。  抽象的で不確かな言葉たちが鐘の音となって響かせる日は、そう遠くないはずだ。 《完》
木のうろ野すゞめ
木のうろ野すゞめ
雰囲気小説を書く人です。 毎週金〜日曜日の間になにかしら書きあげていきたいです。 現在は主に「書く」「書く習慣」にて生息しております。 2025/8/16〜 ※作品は全てフィクション ※無断転載、AI学習禁止