息をするように死んでくれ

 それなりに交流のあった伯母の火葬が済んで今、墓へと向かっている。バスに揺られ、私はぼんやりと伯母の骨を思い出した。  白くて脆かった。  細い箸で摘んで小さな壺に入れる淡々とした作業に命の終わりがこれかと拍子抜けしたものだ。  焼かれる寸前まで伯母の瞼は動かなかった。  ああ、死んだのだ。と思って一拍思い直す。  いいや。伯母はとっくの昔に死んでいたのだ。  一年前くらいからおむつの匂いがした小さな個室のベッドで伯母は生かされていた。会うたびに皮膚の皺が濃くなって、増えて、枯れていく。  従兄弟の嫁は穏やかに子どもたちに決まって言うのだ。
本条凛子
本条凛子
少しずつ小説を書いています。 載せる予定だった小説の草稿がどっか行って泣いた