人魚は水に還る

 ある学校に、「人魚姫」と言われる女の子がいた。  人魚姫は美しかったけど、誰が声をかけても彼女の長い黒髪は揺れなかった。 「王子様と結ばれたいの」 「海に落ちた王子様を助けるの」  誰に対しても、それだけだった。  貝がらの髪飾りを触りながら、彼女はたまに微笑む。それはこの世の何よりも綺麗だ。  みんなそんな彼女に釘付けだった。  僕もその1人であり、僕は唯一の例外だった。
はのん
はのん
アプリ入れ直した出戻りです。 書きたいときに