願い事

 『あの人とまた、会えますように。』 私が、こう願うようになったのはほんのひと月前。 この頃戦争なんかで、自分の故郷にも帰ることができず、無力である私は、生きている意味などないと考えておりました。  「死にたい」 川に足先を付け、私は呟きました。少し間があき、後ろから声が致しました。こんなところに人は居るまいと考えていたため、私は少し驚きました。  『死にたいなんて言うんじゃありません。』 とても暖かく、優しい声色。思わず振り返る程でした。  「貴方は…?」
琉璃
琉璃
文豪に憧れた学生。