惰性以上、情熱以下 ⑨

惰性以上、情熱以下 ⑨
 「・・・・・・・・・・」  また彼は出て行ってしまった。 部屋の時計を見ると深夜0時を回っていた。 駅まで彼の歩幅でも二十分は掛かる。だから終電には間に合わない。というか、今までの彼の行動を考えると律儀に実家に帰るような事はしないし、私も疲れ切った脚で彼を追いかけるような事はしたくない。  シンクの上には切り掛けた野菜と溶かれた卵、そして冷凍が解かれたご飯が二つあった。とりあえずコートとマフラーをハンガーに掛け、手を洗って彼が作ろうとしていたオムライスを作る。  少し反省した。彼の行動が目に浮かんだからだ。 きっと彼は聞きづらい事を聞いた後、気不味くならないように二人の好物のオムライスを作ろうとしたんだ。 <オムライスできたよ。一緒に食べよ>
DORRY
DORRY
思いつきのストーリーを書いています。記録用でもあります。 恋愛、BL、家族、友情、テーマはいろいろです。