第十九話 『視線

六月十三日 火曜日 「………………………………」 今、何かが。 「加川くん、どうしたの?」 朝の登校中、急に立ち止まった俺の方を振り向いてフィルは様子を確認した。 しかし今はフィルよりも気になることがある。 今、何かが見ていた。 たしかに視線を感じたが、最も気になっているのは。 「加川くん?」 反応がない俺の頬を摘んできた。
カクテル