今生
命は何にも変えることができないできない。賠償金?それがなんだ。金を積めば命が舞い戻ると言うのだろうか。
連日の報道。どのチャンネルも同じ。動画サイトを開いても、それを取り上げる活動者ばかり。それほど世界に衝撃を与えた事件だったのだろう。
家の前が騒がしい。あれほど来ないでくれと言ったのに、デカいレンズが家を凝視する。
「パパ、、もういや……。」
精神をすり減らした妻。泣けど泣けど涙が止まらず、その雫で心の蝋燭を消してしまいそうだ。
「シズコ……。」
私は酷い人間だ。子を亡くした悲しみより、犯人への怒り、憤りしか覚えない。
犯人と対面した際、どうしてやろう。首を絞めてやろう。忍ばせた包丁で刺し殺してやろう。いくらでも妄想できる。しかし妄想する度に、虚しさだけが残る。
妻の肩を抱き寄せる。私と触れていると余計に涙を流させてしまう。脱水にならないか、本気で心配になるほど。
私達の部屋は暗く、蒸し暑い。電気もエアコンも付ける気にならない。カーテンの奥で蠢く人影に吐き気を催す。
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カテゴリー: ミステリー
投稿日時: 2022/9/9 12:14
注意: この小説には性的または暴力的な表現が含まれています
N's
はじめまして。よろしくお願いします。
書いたヤツそのまま投稿したものが多いので支離滅裂かもしれません笑