月
僕は常に穴の底にいた。 穴の底から見上げる月はとても明るく、綺麗だった。 土の匂いと暗がりには慣れ親しんでおり、時々顔を覗かせる土竜とは友達だった。 ある日、可愛いらしい女の子が覗き込み、僕に向かって「何でそこにいるの?」と声を掛けてきた。 僕は考えてみたけど分からなかったので「分からない。生まれた時からここに居るから」と答えた。
徳永
徳永
何故だか分からないけど、いつの間にか文章を書いてしまう病の大人。少し暗めの短編多め。