エゾギクの美酒
序
「ここに霊液があります。あなたの助けになるかもしれません」
差し出された小瓶の中には、粘度を持つ液体が入っていた。至極色のそれは、どこか禍々しくも感じられる。
この中に、俺の欲している物全てが含まれている。
小瓶の中身を振り混ぜながら、その男は内容物を読み上げた。
「聖書の紙片、シェイクスピアが使用したペンのインクを数滴。エゾギクの花束に、亡くなった無名作家の残留思念を浴びるほど。健康上問題はありません。あなたが望むかどうかに全てがかかっています」
「それで、俺は変われるのか」
「もちろん。これを飲めば、一夜にして有名作家として大成するでしょう。デメリットはありません。在庫は残り一つです」
0
閲覧数: 214
文字数: 6084
カテゴリー: SF
投稿日時: 2025/3/30 6:56
最終編集日時: 2025/3/31 3:27
ot
初めましての方、よろしければ仲良くしてくださいね