風を売る少女
「やっと着いたか……」
周りを見渡す限り山が連なり、その中でも平坦な集落。そしてどこか懐かしい、でも寂しい……故郷まで続く一本道が伸びていた。
久しぶりに故郷の村に戻った。ある人から聞いていた。
“あの村はもう誰もいない”と。
言われた通り、廃れた集落になっていた。家はボロボロ。畑の雑草は伸び放題。人の気配はなく、あるのはここに昔人が住んでいたという痕跡だけ。
私は悲しくなった。少し前までは賑やかだった故郷がこれほど……、あれ。
私の生きた故郷はどんな姿だったか。
靄がかかったように、うまく思い出せない。
そもそも20年近くぶりに故郷に帰ったことを思い出した。半ば強引に出て行った私は嫌っていた故郷の風景を忘れていた。
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カテゴリー: ファンタジー
投稿日時: 2025/7/22 14:49
最終編集日時: 2025/7/22 14:56
花瀬 詩雨
ハナセ シウと申します。
よろしくお願いします(՞ ܸ. .ܸ՞)︎♡
アイコン ノーコピーライトガール様