半田珠子の証言

半田珠子の証言
一,《私》  ——なんでワタシが……      ***  あれから幾《いく》つ時が過ぎたのだろうか。某株式会社に就職している私は、ごく普通の会社員、いわばOLというやつだ。だかつい最近、いや、今から約七十二時間前の出来事だ。その出来事のせいで私は、ごく普通からはみ出した。かと言って周りから白い目で見られている訳ではない。巷で私が噂で溢れかえってる訳でもない。なんなら、ニュースにも報道にも私の顔も名前すら載っていない。だが、私の中では一線をこえてしまったのだ。  私は、何をしているんだ。誰もいないのに誰かに語るように考えごとをしてしまった。  「まぁ、いいか。」 この目の前にある書類を綺麗に鞄《かばん》に片付けれるのだろう。縦向き?それとも、横向き?この書類が元々鞄に入っていたものであれば、どれほど楽だったのだろう。これを挟むファイルも見当たらない。どうする、どうする。この後の予定をずらす訳もいかない。ん? あ、そうか!  急がないと、もう待ってるかな、、時計は、、まだ、十七時半。大丈夫、六時までまだ三十分ある。そう思うとなんだか気持ちが楽になったな。少し歩くか。
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