グラスと白黒
グラスから滴り落ちる水滴が、コースターに水たまりを作っている。空調の効いた休日のカフェには、楽し気なカップルや写真撮影に勤しむ女性があふれていた。
流行りのカフェというのは、どうしてこんなにも落ち着かないんだろう。フォトジェニックなメニュー、北欧モダン雑貨の数々、目の前で必死に汗を流すアイスコーヒー、正面に座るお洒落ないとこのお姉ちゃん。
取り囲む全てが「不格好なお前が来る場所じゃないよ」と囁いている気がする。
被害妄想に苛まれる私に向かって、いとこのさっちゃんはさらりとこう言った。
「それは、恋だよ」
驚く私の動きに合わせて、積まれた氷がからんと揺れた。
「こ、恋?」
「そう、恋。お魚じゃないよ、こっちのほうだよ」
3
閲覧数: 24
文字数: 4086
カテゴリー: 恋愛・青春
投稿日時: 2021/10/13 12:05
まみむめもず
基本的に読み専でございます。
たまにお話を書いているとかいないとか。
今一番欲しいものは、生きてるだけで褒めてくれる友達です。
Twitter→ @mameuchiMoz