船旅
こっくり…。こっくり…。
微睡みの湖沼を流れ行く、若き男がそこに一人。ささやかな揺れも、その小舟を揺らすには十分なようで、右に左に揺られる姿が可愛らしい。一体、彼は今何を見ているのだろうか。
揺れに目覚めを促され、霧がかった世界に目を擦る。薄霧に白んでいる辺りもそうであるが、何よりこの頭が霧がかったようにぼんやりとしている。
−ここは、どこだろう…。
しばらくの間揺られていたようだが、今まで何をしていたのかが、全くもって分からない。訝しむ時間もそこそこに、小舟が浅瀬に乗り上げたようだ。
「おっと…」
久方ぶりの大地に、踏み出す足が驚いてしまったようで、ふらふらと二三歩よろけて進み、やっと意志を持って踏み出した。思いのほか身体は軽い。むしろ、あまりの軽さに違和感を覚える程だ。
「さて…」
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カテゴリー: その他
投稿日時: 2025/10/12 13:40
じゃらねっこ
ねこじゃらしが好きなので、じゃらねっこです。