140文字小説+α その138 「吸血事情」

 私は、吸血鬼。  夜に紛れて、血を吸う怪物。  今日も私たちの時間がやってきた。ああ、牙がうずく。  ピンポーン。お、きたきた。 「アマヴァンからのお荷物でーす」 「ありがとうございまーす」  吸血パックが届いた。今日は、O型のパックにしようかな。  吸血パック。現代の吸血鬼には、なくてはならない代物だ。  このご時世だ。暗がりで人目がつかないところで、人の血を吸うなんてまず不可能。監視カメラとか数え切れないくらいあるし。危険を冒して人の血を吸って、万が一にも発見されたら一巻の終わりだ。SNSで即拡散。警察のお世話になることは確実である。
きと
きと
就労移行支援を経て、4度目の労働に従事するおじさんです。 あまり投稿は多くないかも知れませんが、よろしくお願いします。 カクヨム、エブリスタでも小説を投稿しています。