うわき

その時聞き慣れた着信音が部屋に鳴り響いた。 画面を確認すると、彼の名前が表示されていた。 それを見た瞬間、動悸は激しくなり冷や汗が止まらなくなった。小刻みに震える手は彼との通話を本能的に拒否していることを示していた。 着信を拒否すると手の震えや動悸はまるでなかったかのようにすっと引いた。 私は彼が怖いのだろうか。 いや、きっと違う。 また裏切られるのが嫌なのだ。 自分のことも、彼のことも、あの女のことも、全部全部気持ち悪かった。 何も考えたくない。
みお