彼を食む【純文学BL】

彼を食む【純文学BL】
 その日僕は、彼の一部を食べました。  もし彼がそのことを知ったら、きっと彼は僕のことを気持ちが悪いと思い、嫌いになるでしょう。  僕は、彼に恋をしていました。当時私は、まだ未成熟で透明な子供でした。ゆえに、友情と愛情を履き違えていたのです。  それが恋愛感情ではないと気がついたのは、随分と後の話になります。  六十を過ぎた今でも彼との親交は続いており、僕は何もないような顔をして、彼と話しています。  生涯、このことを人に言うことはないでしょう。いわば、墓まで持っていく秘密です。  でも、秘密をずっと抱えているというのは辛いものです。ですから、この手帳にその時の出来事を書いていこうと思います。  これは、僕が中学校二年生、十四歳の夏の話です。  その日、僕と彼は数学の先生が出した、沢山の課題を解いていました。夏休みも半ばに差し掛かった頃で、一番暑さが体に堪える時期です。
サーモンハンバーグ
サーモンハンバーグ
小説やらを書散らす、自称小娘です。 Twitter▷▶︎▷▶︎ https://twitter.com/salmon_humburg_?s=21