月影ノ誓  九

月影ノ誓  九
第四節:幕間ノ兆(まくあいのきざし)  ──月はまだ登っていない。  沈黙と冷気に包まれた山間の小道。草も木も息を潜め、夜の帳が静かに降りようとしていた。  だが、その静寂を踏みにじるように、複数の影が木立の間をすり抜けていく。  漆黒の羽織に、無機質な面をつけた者たち。  それは、清眼党(せいがんとう)の一団だった。
まき
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noteにて創作過程をUP中 https://note.com/dear_lupine5734