雑記 アメ食①

雑記 アメ食①
 ホストマザーのラウラさんは私に一口でも多く食べさせようと躍起になった。チキン、ステーキ、ローストビーフ、ミートローフ、スペアリブにポークチョップ…。  夫人は料理好きで、上手だった。どれも美味しかった。  私を困らせたのはその量だった。  その頃の私は、例えばケンタッキーのチキンよりビスケットが好きで、ビスケットとコールスローSがあれば良かった。 「なんてこと、もっと食べなくちゃ!」  ラウラさん私に最低でも二つチキンを食べるように言った。そしてそれで終わりではなかった。デザートがつくのだ。家では夫人の作ったどでかいアップルパイが。もしくはベリーソースのかかったチーズケーキが私を待っていた。  夫人は童話に出て来る魔女のようにご馳走で私を太らせようとした。  いや、同い年の彼女の娘より頭ひとつ小さく、手首が折れそうに細く、黒い服しか持っていない私が日本では家族に消極的なネグレクトをされているのではと思っているかのようだった。
小目出鯛太郎
小目出鯛太郎
『アルファポリス』『小説家になろうムーンライトノベル』にBL書き散らかしてる。 あらすじと感想文と片付けが苦手な生物です。