パンドラの二重底
ある日、冥王プルートはゼウスに尋ねた。
「なぜ、厄災の壺をパンドラに託したんだい? あいつら、自分のしでかした罪の大きさに今も苦しんでるぜ」
すると、ゼウスは頭をかいて答えた。
「サプライズのつもりだったんだがね。若い夫婦には、挫折と目標が必要だ」
「それにしては、代償が大きすぎるだろう」
プルートは重ねて問う。ゼウスは苦笑いを浮かべると
「実はな、あの壺の底には、時を戻す砂が入っているんだよ。彼らが自分の行動の結果から逃げずに、真正面から向き合えば気づく様にしておいたんだが……」
そう言って、葡萄酒の杯を悪戯っぽく揺らして見せた。
「まぁ、彼らがいつ気がつくか、気長に待とうじゃないか。何せ、時間なら退屈するほどあるんだからな」
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カテゴリー: その他
投稿日時: 2022/3/5 17:07
最終編集日時: 2022/3/5 17:11
泥からす
短くて、変な小説を書きます。ノンジャンルです。