睫毛

睫毛
私だけが、望んでいたのかもしれない。 公園のベンチ。 隣で寝息を立てている彼の睫毛を見て、私は昨日のことを思い出していた。 柄にもなく、怒鳴る彼と泣く私。 「泣くなんて卑怯だ」と、そっと私の手に、彼の少し骨ばった大きな手が重ねられた。 彼も泣きそうだった。 私に触れない彼を、何処か嫌っていたのかもしれない。そばに居てくれるだけで、なんて、綺麗事。
満欠
満欠
みちかけ と読みます 誤字多い 基本書く専ですがたまに読んでます