ウサギノノアナ#1
『ある日アリスはお姉さんと森に出かけました。ふと、髪のきれいな―後にアリスは白いウサギのようだったと言います―1人の少女が森の奥へと進むのが見えました。気になったアリスはお姉さんの目を盗んで少女の後をついていきました。段々と草木が絡みついて来るような景色に怖くなった頃、開けた場所に出ました。アリスの目の前にはさっきの少女ととっても大きな穴。髪のきれいな少女は取り憑かれたようにその穴の中に入って行きました。気になったアリスは―』
「…知ってる。それウサギノノアナでしょ?結局落ちたアリスは姉の通報で一命を取り留めて、そのあと穴の中から身元不明の中高生くらいの死体が発見されたって話。創作でしか聞いたことないけど。」
休日の昼下がり、突然森近くの駄菓子屋に呼び出され最近よく聞く怪談、『ウサギノノアナ』を話してくる親友、花蓮に不安と疑問の意思を込めてそう返す。とうの花蓮は何故かご満悦の様子で満面の笑みで口を開いた。
「そう!やっぱりなっちゃんも知ってたんだね、ウサギノノアナ。最後は穴ごと消えちゃうんだよね〜。」
「そりゃあ有名だからね。その話とここに来た理由ってなんか関係があるの?まさか、ウサギノノアナを探すぞ―!って話じゃないよね?」
「そのまさか!って言いたいとこだけど、ちょっと違うんだなぁ〜」
チッチッチと指を振る。
「あるんだよ、もう。昨日見つけたんだ。」
「はぁ?」
「今日ここに呼び出したのは、ウサギノノアナを見に行こう!ってことなのだ!」
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カテゴリー: ファンタジー
投稿日時: 2025/4/8 4:21
最終編集日時: 2025/5/29 9:59
鳥塚 齢
こっそり見させていただいています。