リアル ≠ ぼく (仮)

リアル ≠  ぼく (仮)
序章|指先だけが、現実だった。 部屋の明かりは点けていた。けれど、意味はなかった。 蛍光灯の白さが、ただ部屋の無機質さを際立たせるだけだったから。 狭いワンルーム。薄手のカーテン越しに、街灯のオレンジが滲んでいる。 その部屋の片隅に、佐久間悠真はうずくまっていた。 スーツのまま。ネクタイも靴下もつけたまま。 ただ、スマートフォンだけは手放していなかった。指先だけが生きているようだった。
あさきのぞみ
あさきのぞみ
世界観なんてない。 自分らしく生きる羅針盤すらない。 存在を証明する計算式もない 指折り数えること その日を繰り返す為に