リアル ≠ ぼく (仮)
序章|指先だけが、現実だった。
部屋の明かりは点けていた。けれど、意味はなかった。
蛍光灯の白さが、ただ部屋の無機質さを際立たせるだけだったから。
狭いワンルーム。薄手のカーテン越しに、街灯のオレンジが滲んでいる。
その部屋の片隅に、佐久間悠真はうずくまっていた。
スーツのまま。ネクタイも靴下もつけたまま。
ただ、スマートフォンだけは手放していなかった。指先だけが生きているようだった。
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カテゴリー: SF
投稿日時: 2025/5/28 3:45
あさきのぞみ
世界観なんてない。
自分らしく生きる羅針盤すらない。
存在を証明する計算式もない
指折り数えること
その日を繰り返す為に