僕らの恋模様
出会いは単純だった。
ただ同じカフェラテを、全く同じ量の砂糖とガムシロップで。癖の強い飲み方を昔からしているものだから、真隣りで同じことをしている彼女を無視はできなかった。
横目で見た彼女は黒いコートをしていて、髪の毛はつい最近染めたような金色。それでいてサラサラとした髪質はボブより少し長い髪に、色気すら感じさせる。
それでも決して喋ることはなく、静かに一人のカフェを満喫する。そして勘定。全く同じタイミングで。お互い驚いて三秒間目が合う。そして逸らす。
「ねえ。ふざけてる?」
きっと心臓を貫かれた。癖の強いカフェラテを飲んだ後でも、彼女からイチゴの匂いが香ることだけは確信できる。
カフェを出た途端の寒さと彼女の切迫な顔はまるでカップルの別れ際の様に寒色だった。
「そんなことないんだ。たまたまと 同じものを飲んでいただけで」
横目で見た時は見れなかった、顔が目の前にある。多分アイドルとかには居ない、落ち着いた顔立ち。寒いのか、少し頬を赤らめて。
イルミネーションが飾られた大きな道の傍らで、恋をした。裏腹に、多分きっと嫌われてしまった。
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カテゴリー: 恋愛・青春
投稿日時: 2024/1/10 15:59
宮浦 透 Miyaura Toru
みやうらとおるです。小説書いてます。興味を持ってくれた方はアルファポリスや公式LINEにて他の作品も見れます。