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案の定、ユウヤはその翌日ケンイチに殴られた。以前のように目を覚まして家を出て学校へ向かおうとする際に、ケンイチは物陰から飛び出して、ユウヤを思い切りに殴り飛ばした。ユウヤはもちろんその場に軽々と倒れる。おい、とケンイチがユウヤの襟首を強く掴み、彼の体を引きずり上げて立たせる。
「お前は一体何をやってるんだ?ああ?」
眩しい水色の空の下、ケンイチの怒凄(どす)の効いた重い冷たい声がユウヤの耳元に響く。何が、とユウヤは襟を掴まれ苦しそうな声で言う。
「また惚ける気かあ、てめえはっ」
そう怒声をあげて、ケンイチはユウヤの左頬を力一杯殴る。ぐごふぁっとユウヤが呻きを洩らして顔を項垂れる。下奥歯の歯茎から鮮血が流れて、口元に溢れる。鉄の匂いと味が舌先の味蕾に嫌な口当たりをもたらす。
「てめえ、何度言っても懲りねえやつだなあ、またミレイとヤったんだろ。なあ俺知ってるんだぜ、バレねえとでも思ったのか?ああ?アイツと抱き寝したんだろ、この前の約束はどうなってんだ」
ケンイチの怒りは止まらず、ユウヤは右頬も同じく強く殴打される。誰か、と助けを周りに求めようとしたが、不幸にも朝が早い為か周囲に人影は見当たらずにいた。ユウヤは涙ぐんで、ケンイチの顔を見やる。彼の顔は、以前にも増して恐ろしく、理性を失った目つきを見せていた。目元が吊り上がり鋭く、野生の獣そのものといえた。口元も歪んでおり、牙のように前歯を剥き出している。鼻息も酷く荒くて、ユウヤの口中に広がる血液を乾かすように吹きつける。
「お前、もしかして今度はケツやったんじゃねえだろうな」
「何、それ……」
「しらばっくれんな、お前の汚え腐れ棒でアイツのケツん穴に挿れやがったのかって聞いてんだ」
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カテゴリー: 恋愛・青春
投稿日時: 2025/10/5 2:15
注意: この小説には性的または暴力的な表現が含まれています
アベノケイスケ
小説はジャンル問わず好きです。趣味は雑多系の猫好きリリッカー(=・ω・`)