第一話 無免許幽霊
「いっけなーい! 遅刻遅刻ー!」
曲がり角を曲がった途端、ドン! という大きな衝撃音と共に制服姿の少女とぶつかる……と思いきや、俺の身体は少女の身体をすり抜けて行った。
「は?」
「え?」
お互いに困惑する。
よく見てみると、少女の身体は向こう側が見通せるくらいに半透明であり、膝から下の脚が無く、頭には三角形の布のようなものを巻いている。
「アンタ、私が見えちゃってるの?」
「え、あの、幽霊??」
「見りゃわかるでしょ。生身の人間のくせに目ついてないの?」
本物の幽霊に出くわした衝撃よりも、その高圧的な態度に苛立ってしまう。
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カテゴリー: ファンタジー
投稿日時: 2025/9/26 12:52
吉口一人