あの頃君は

あの頃君は
 就職に失敗し、ラブホテルのバイトをはじめて早四年。しかし、二十六歳を目前にして、僕には危機感がなかった。  四年というと思っているより長い。高校の入学から卒業までより長いと考えると相当だし、大学生活と汚いティッシュを捨てるだけの生活が同じ長さだったと思うと恐怖すら感じる。  毎日朝ラブホに向かい、受付をし、順番が来たら清掃をするだけの単調な生活なので、まだ四ヶ月くらいかと思ったらもう四年も経っていた。  この四年間で得たものは殆ど何もなかった。かろうじで仕事仲間とは話せる位で、特に人脈が広がった訳でもない。  加齢と運動不足により、ただでさえ平均以下だった体力が大幅減しただけだ。
あや