君の小惑星【星憶図書館】

君の小惑星【星憶図書館】
放課後の理科棟の屋上は、風が強かった。 冬の気配が少しずつ近づいている。空は透きとおって、星がひとつ、またひとつと顔を出していた。 古びたドームの中で、天文部の望遠鏡が低いモーター音を立てて動く。 「これ、動いてない?」 画面をのぞき込みながら、星来が言った。 パソコンに映る星図の一角、ひとつの光点が他の星とは違う軌道を描いていた。 「多分……人工衛星じゃない。動きが速すぎる」 俺は目を細めて確認する。モニターに写る淡い光は、数分ごとに位置を変えていった。 「小惑星かもしれないね」 「ほんと?すごくない…!」
叶夢 衣緒。/海月様の猫
叶夢 衣緒。/海月様の猫
少し投稿頻度落ちてます。 2023年 2月27日start 3月3日初投稿