日常

 いつものように重たい体を起こす。憂鬱だが今日も一日が始まった。いつからか毎日がお祭りからただの日常に、いや、陰鬱な日に成り下がっていた。代わり映えのない日常はただただ時間が過ぎるだけだ。  まだ開ききっていない目をこすりながら、俺は部屋のカーテンを開け、洗面所へと向かった。蛇口をひねり、冷たい水をすくい上げ、顔を洗う。冷たい水で少し目が覚めると、台所においてある食パン一枚とコップ一杯の水を持って、リビングのソファに腰掛けた。ソファの上に置いたままだったリモコンに手を伸ばすが、なんだかつけるのも億劫で、またリモコンをソファに戻す。水を一気に飲み干して、食パンに手を付ける。味気のない少し乾いた食パンは俺をいつもの億劫な日常へより強く引き込んだ。食パンを食べ終え、乾いた喉を潤すため、インスタントコーヒーを入れる。残念ながら金銭的な余裕がないためエナジードリンクの代わりだ。無理矢理でも起きるために、毎朝欠かさず口に流し込む。口に苦味が広がるがそれにももう慣れた。時計を確認する。いつもと同じ時刻。出勤の時間が迫る。ただ形式だけのスーツを着る。これだけで体がずんと重くなるのだから大したものだ。手提げかばんに書類を詰める。全て入れたことを確認して、玄関に向かった。扉を押し開け、外に出る。今日は痛いほどの青空だ。憂鬱な毎日で変わることと言ったら天候くらいだろう。大きな青空を背にマンションの鍵を閉めた。
傘と長靴
傘と長靴
 自分の書いた物語を誰かと共有したいと思い始めました。  拙い文章ですが、目に留めていただけると、幸いです。