透明なバスケットボール
夜の体育館は、世界から切り離されたみたいに静かだった。
風の音も、街のざわめきも届かない。
ただ、ボールが床を叩く音だけが響く。
——ドン、ドン。
反響が広がって、胸の奥まで揺れる。
澪は息を吐きながら、ひとりでシュートを放った。
ボールがリングを擦り、軽い音を立てて落ちる。
0
閲覧数: 9
文字数: 9351
カテゴリー: 恋愛・青春
投稿日時: 2025/10/22 23:43
かつらな
現役女子高生、17歳。
かすかな痛みと夢の残り香を言葉に変えて、生きている証を綴る。