「春が来るその前に1」

6月の教室は少しだけ、夏の匂いがした。 まだ梅雨だというのに、もうセミは鳴いている。 紬(つむぎ)は窓から入ってくる風を感じながら黒板の字を書き写した。紬の経験上、国語の先生は大体達筆であることが多い。しかし新しく入った高校では先生の字があまりにも汚い。何と書いてあるのか少々苦労しながらも書き写していく。 「菅野先生ってなんであんなに字が汚いんだろう。普通国語の先生って字が綺麗なんじゃないの?」 休み時間になり、紬の友人である佳奈は不満そうに口にした。 「たしかにそうだね。」 先生に悪いと思いながらも、紬は小さくうなずいた。
田舎の高校生
田舎の高校生
私の体験談を元にして書いています。 ぜひ青春を味わってください!