ルーツ・ループ③(終)
2年目11か月
「恵梨香。今日が最終日の予定だが体調はどうだ?」
「大丈夫だよ。お父さん。」
「先生は……今日は来ないそうだ。」
「そう。」
先生と別れてから約9か月。別れた次の日から先生は彼氏ではなく、ただの先生になった。以前はウキウキだったカウンセリングもそれがあってからは退屈な時間になり、日々の楽しみは何も無くなってしまった。
先生とも何もなくリセットまで一日になった。特別な一日だけども何もできないのでいつも通り過ごした。先生の有無はいつもと違うけど、こんなタイミングなんだ。逆にありがたかった。けど、本当に何も言えずに終わっていいのか後悔がもやもやと残る最後の日だった。
「もういい時間だな。そろそろ眠るか」
時刻は23時30分ごろ。面会時間ももう終わるころ。次に目覚めたら私は違う私になって、また先生とカウンセリングをするのかな。先生に何も、少なくともお礼さえ言えなかった。
「それじゃあ、父さんと母さん帰るな」
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カテゴリー: 恋愛・青春
投稿日時: 2023/12/6 19:55
注意: この小説には性的または暴力的な表現が含まれています
まつり