「親友でなくなる日」
『大親友へ』
彼女からの手紙を見る度に僕はあの頃を思い出す。
彼女は僕の初恋だった。高校生活が始まる登校初日、僕は一目惚れをした。風に吹かれサラサラと揺れる美しく長い髪にキリッとした目つき、すっきりとした鼻に誰をも魅了するほどの小さい顔が僕の心を射抜いた。
クラス発表の紙が張り出されていたので自分のクラスを確かめ、教室へ向かい席に着くと彼女が同じクラスにいて、僕は人生全ての運を使い切ったのではないかと思ってしまった。が、ここで浮かれてはいけない。中学の頃、人当たりが悪いと散々いじめられていたあの時を境に極力周りと距離を置こうと決めていた。しかし、どうしてか目の前にいる天使と目が合ってしまった。僕は目を逸らしたが遅かった。彼女はこちらを見るとどこか弱々しい足取りで僕の席へ近付き、
「席隣だね、これからよろしくね」とだけ言い、去っていった。息が止まるかと思った。
その日は午前で学校が終わるため、大半の人たちは部活動の体験に行くのだが、僕はそんなのに興味は一切なく、一分一秒でも早く家に帰りたかった。下駄箱で靴を履き替えていた時、彼女とばったり遭遇した。僕と目が合う。そしてなぜかにこっと笑い、
「部活、体験とか行かないの?」
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カテゴリー: 恋愛・青春
投稿日時: 2025/10/9 3:36
まつもん
たくさん物語をつくっていきたいと思っています!多くの人と繋がりたいです。よろしくお願いします!