外の世界に憧れる変なヤツと海の魔法使いさん

 毎日俺のところに来る変なヤツ。いつもニコニコ笑って、楽しそうに外の世界の話をする。初めは外の世界なんて興味ないし、鬱陶しいかったけど、段々慣れてきた。今は、小鳥が囀っているのと一緒。  ふーんと返事はしつつ、分厚い本のページを捲る俺に対して、ずっと喋っている。適当に相手にされているのに、気づいていないのだろうか?  見た目からしても鈍感そうな雰囲気。俺が嫌そうな表情をしても、なんとも思わない。ニコニコ笑って、喋り続ける。  俺は、はぁーと長いため息を吐いて、分厚い本を閉じた。  「毎日、毎日、俺のところに来て、楽しい?」  「うん、楽しい‼︎ 」  満面の笑みで返されて、頭が痛くなってきた。
時雨 天