金柑草子~魔王と金柑~

金柑草子~魔王と金柑~
━━あの方にとって、この島国は鳥籠だ。 「金柑。儂を殺せ」 「は? 今なんと」 一五八二年某日。澄んだ月が空に浮かぶ静かな夜だった。 安土城の天守閣に影が二つ。魔王・織田信長と忠臣・明智光秀 である。魔王は月を背に不敵な笑みを浮かべた。 「織田信長を殺せ。儂は辟易している。尾張を統一し、幕府を復権させ、朝廷から位も与えられた。絶対的な権力を手にすればこのつまらぬ世の中も変わると思ったが……何も変わらん。お飾りの帝に将軍。仏に尽くすことなく己の利益を貪る生臭坊主。そして、儂の座を虎視眈々と狙うどこぞの馬鹿猿。退屈だ」
史
ふひとです