門松

 中学生の頃まで、年末年始は親戚の集まりで祖父母宅に行っていた。少し遠かったので、ちょっとした旅行のようで楽しかった。  祖母は料理が上手で、おせちを作ることはもちろん、小豆を煮ていたりもした。床の間に南天が飾られていたり、玄関に正月飾りが飾られていたり、入り口に大きな門松があったりして豪華だった。  いつからか、おせちの具材が市販のものに置き換わっていった。そして、いつの間にか大きな門松は飾られなくなった。  後からそのことに気がついた時「祖父母も歳をとったな」と実感したものだ。  今も祖父母は健在だが、高齢なので、コロナを考えると行きづらく、ここ2年ほど会えていない。  あと何回祖父母のいる正月を迎えることができるだろう。  うまく締められなかったので、一句詠んでこのエッセイを終えようと思う。
すみれ
すみれ
はじめまして、すみれです。日常に根づいた1000字程度の短編小説を書きます。たまに短歌や詩も。