13 情報共有は重要だよね!〜再出発〜

13 情報共有は重要だよね!〜再出発〜
ホテル「愛ある乱暴(バイオレンス・ママ)」をご存知だろうか。冒険者の街として栄え、物価も高いブランメルの中心部であるリスベイ区に建ち、ギルドから徒歩5分という驚きの好立地ながら、破格の安さを誇る大人気のホテルだ。しかも、ちゃんとしたサービスや施設の設備、清潔感。本来なら一泊で500(日本円にして五万円弱)ペニでもおかしくないのに、ここは基本的に50(日本円にして五千円)ペニ。十分の一である。新米冒険者の懐にも優しいプライスで、多大な人気を誇るこのホテルの一室に、本作のメインキャラクター三人は、宿泊している。 女将さんがお勧めしてくれた三人部屋は、とても快適だ。フカフカのシングルベッドは人数分あり、寝心地も最高。白を基調とした部屋は、清潔感があり、敷かれた絨毯は安物なのに高級感が漂っていた。それもそのはず、この部屋は100ペニ。少しお高いが、それぞれ一人ずつ泊まるよりはお得なのだ。そんなベットに腰掛けた三人は、向かい合ってこれからについて話し合っている。 「対策考えようとか話してたが、そんなのの前に俺達はお互いの事を知らなさすぎる!」指を組んだ手に顔の下半分を埋めて、そう発言したのはプシュケだ。 「て、ことでとりあえず、其々の武器や戦闘スタイルを出し合おう。情報共有だ。いつ何処で何が起きるか分からない以上、俺達はお互いの事を知っておくべきだと思わないか?」 「そうね。私のジョブは魔導士だよ。勿論、後衛で、四大元素は全部習得済み。私のこの杖は、聖杖と呼ばれる杖。ソレイユ家に伝わる家宝の一つなの。その名も真紅の聖果(ポム・ダ・ムール)。全ての攻撃に聖属性が付与されるの。ちなみに、私は治癒とか結界術は全く向いてないよ。」 ペレは、杖の中央にある赤い宝玉をなぞりながら言った。 「でも、バリア張ってたじゃんね。」ネネルがそう言いながら食べているのは、女将さんがくれた茶菓子。東の島国から進出を果たした名店“明水庵”の餡がびっしり詰まったドララ焼きである。 「あれは結界の中でも初歩中の初歩だから。コントロール力と、一定量の魔力さえあれば、誰でもできるよ。」 「え、じゃあ僕でもできる?」 「出来るんじゃないかな。君に魔力コントロールができると言うなら。」ペレの声が少し冷たく、言い方に棘が現れていた。ペレは最近、ネネルに対して少し冷たくなりがちなのだ。理由は言わずもがな、あの時の“プシュケは譲れない”発言であるが、肝心のプシュケは鈍感ゆえに気づいていない。
あいびぃ
あいびぃ
初めまして、あいびぃです! 見つけてくれてありがとう♪ 私自身、生粋のアニオタ・漫画オタなのでファンタジーが多めになってます…多分。 詳しいことは「自己紹介」にて! まだまだ若輩者なので、応援よろしくお願いします! ※❤︎&コメはめちゃくちゃ喜びますので、私を喜ばせたい方は是非! 私の事が嫌いな方はオススメしません。