二人の食卓

 子どもを拾った。家の前に落ちていたから。坊主頭で、口は開いたまま。目は小さく、鼻も小さく、体も小さい。手には汚らしい象のぬいぐるみを持っている。  何も喋らないから、何も分からない。口から言葉は出ずとも、腹から音が鳴った。俯いている子どもを部屋にあげた。  まず風呂に入れたかったが、仕方なくカップ麺を取り出した。この家にある唯一の食料だった。子どもの不慣れな手つきでは箸を扱えなかった。この家にはフォークもなかった。こちらが子どもの口に麺を運ぶときも、子どもは象のぬいぐるみを手にしていた。  風呂に入れるために服を脱がすが、なかなか難しい。子どもに両腕をあげるように言い、ようやく上着を一つ脱がせる。ズボンも脱がせる。裸になった子どもを風呂場へ押しやる。 「いっしょ」  右手に象のぬいぐるみを、左手でこちらのズボンを掴み子どもはこちらを見つめる。仕方がなく服を脱ぐ。風呂場で子どもの体と自分の体とぬいぐるみを洗う。  脱衣所で、子どもの服がないことに気がつく。ぬいぐるみの干し方を知らないことにも気がつく。子どもの体にタオルを巻きつけ、ドライヤーを当てる。少し暴れるが、片手で押さえ、髪が乾くまで風を当てる。ぬいぐるみはベランダに置く。  子どもは濡れたぬいぐるみをベランダから回収し、タオルをぬいぐるみに被せる。もう一つタオルを持ってくることになった。 「名前は」  タオルを投げるついでに質問も投げかける。
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色々書いています。