普通の恋。

これは、 イケメン転校生でもなければ、サッカー少年でもない。曲がり角でぶつかったわけでもなければ、幼なじみでもない。犬猿の仲でもなければ、お隣さんでもない。御曹司イケメンでもなければ、極道イケメンでもない。そんな普通の君に恋した普通の私の話。 中学2年生の夏。君に恋をした。君はみんなに優しくて誰とでも仲良くて、でも特別目立ってるわけでもなくて。イケメンって騒がれるようなキャラでもなく、どちらかというといじられキャラのような君だった。 恋をした決定的瞬間は、案外記憶にないものだ。特になんの理由もなく、気づけば胸の鼓動が君への恋心を告げていた。私にしては珍しく、君と話すことには苦労しなかった。たしかに緊張はしたものの、気さくな君に話しかけることは、周りから見て浮くわけでもなく、当たり前の光景であったようで、ただ私の鼓動だけが激しく弾んでいた。 君に恋をしている人は私だけではないようだった。ただ、少女漫画のように恋のライバルにいじめられるなどといったことはなく、ただ彼のことが好きな女の子は、彼と話して花のように笑っていた。きっと私はライバルの土台にすら立っていないんだろうということが分かった。それと同時に、あの女の子が恋のライバルをいじめるような子だと仮定してしまった自分を情けなく思う。私にいつも向けられていた君の笑顔と同じものが、あの女の子にも向けられている。 知っている。君って人は誰にでも優しくて、私なんかにも可愛らしい女の子に向ける笑顔と同じものを見せてくれる。そこにきっと私は惹かれたのだろう。ただただ、君の良さを良い気持ちで見ることができない自分を憎んだ。 そんな淡くて薄い、炭酸の切れた炭酸水のような恋は気づけば終わっていた。
まるてん
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