別れはいつも謝罪とともに ⑨

別れはいつも謝罪とともに ⑨
 どこまで行っただろう、合流できるかな、と思いつつ走っていると、彼女の声が聞こえた。 「ゆうちゃん!」  声が聞こえたのは私の後ろだった。彼女は公園の遊具に身を潜めていたようだ。公園はがらんとしていて、逃げるにはぴったりか。 「手痛いよね!? 大丈夫…じゃないよね、ごめん絆創膏持ってなくて…あっいやこの傷じゃ絆創膏とか意味ないし…」 「…大丈夫だよ、だって今から行く場所って保健室でしょ」 「そうだけど〜、応急処置は命に関わるって習ったよ!」 「キョンシーは獄卒に傷つけられても命に関わらないから大丈夫。さ、行くよ」  本気でひよりは私を心配しているみたいだ。心配、か。お姉ちゃんもしてくれてたな…。それなのに「人間は解決できない」なんて思って、誰も信用しなくて、誰にも頼らなかった。そんな私がなんで人を信用できているのか。ひよりとも警戒せず話せているのはなぜか。
颯兎ちり
颯兎ちり
早とちりな学生。不定期です。