別れはいつも謝罪とともに ⑨
どこまで行っただろう、合流できるかな、と思いつつ走っていると、彼女の声が聞こえた。
「ゆうちゃん!」
声が聞こえたのは私の後ろだった。彼女は公園の遊具に身を潜めていたようだ。公園はがらんとしていて、逃げるにはぴったりか。
「手痛いよね!? 大丈夫…じゃないよね、ごめん絆創膏持ってなくて…あっいやこの傷じゃ絆創膏とか意味ないし…」
「…大丈夫だよ、だって今から行く場所って保健室でしょ」
「そうだけど〜、応急処置は命に関わるって習ったよ!」
「キョンシーは獄卒に傷つけられても命に関わらないから大丈夫。さ、行くよ」
本気でひよりは私を心配しているみたいだ。心配、か。お姉ちゃんもしてくれてたな…。それなのに「人間は解決できない」なんて思って、誰も信用しなくて、誰にも頼らなかった。そんな私がなんで人を信用できているのか。ひよりとも警戒せず話せているのはなぜか。
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カテゴリー: ファンタジー
投稿日時: 2023/4/23 0:16
颯兎ちり
早とちりな学生。不定期です。