第四話 手がかり

「へ〜、ここがアンタの高校なのね。ボロイ校舎ね〜」 「君だって生前ここに通ってたんだよ。多分」 本当に連れてきてしまった。 今朝、幽霊のホロ子さんといつもの交差点で会い、話していると彼女が俺の高校について行くと言い出したのだ。 こんなところ、誰かに見られたら大変だ。幽霊を連れ込むことは校則違反ではないだろう。しかし俺にすらあった霊感なるものが、他の者に無いとは断言ができない。"視える"奴からしたら俺は突然学校に女の子の幽霊を連れ込んできた奴、あるいは突然女の子の幽霊に取り憑かれた奴に見えるだろう。 「おい、あんまり話しかけないでくれよ」 小声で忠告する。それを聞いたホロ子さんはニヤリと笑った。 「ねえ、あそこ!」 「え?」 彼女は教室で自分の席に座る俺の右側をふいに指差した。思わずそちらを向いてしまうが、そこには隣の席に座る女子生徒の鈴木さんがいるだけだった。
吉口一人
吉口一人