第四話 手がかり
「へ〜、ここがアンタの高校なのね。ボロイ校舎ね〜」
「君だって生前ここに通ってたんだよ。多分」
本当に連れてきてしまった。
今朝、幽霊のホロ子さんといつもの交差点で会い、話していると彼女が俺の高校について行くと言い出したのだ。
こんなところ、誰かに見られたら大変だ。幽霊を連れ込むことは校則違反ではないだろう。しかし俺にすらあった霊感なるものが、他の者に無いとは断言ができない。"視える"奴からしたら俺は突然学校に女の子の幽霊を連れ込んできた奴、あるいは突然女の子の幽霊に取り憑かれた奴に見えるだろう。
「おい、あんまり話しかけないでくれよ」
小声で忠告する。それを聞いたホロ子さんはニヤリと笑った。
「ねえ、あそこ!」
「え?」
彼女は教室で自分の席に座る俺の右側をふいに指差した。思わずそちらを向いてしまうが、そこには隣の席に座る女子生徒の鈴木さんがいるだけだった。
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カテゴリー: ファンタジー
投稿日時: 2025/10/1 12:03
吉口一人